国際相続

国際相続には、2種類あります。

1.相続させたいご本人のために〔生前国際相続〕
2.相続が起きて、お困まりのご家族のために〔従来の国際相続〕

1-1.相続させたい本人のために


1.【相続させたいご本人】
生前に、子供や家族に迷惑をかけないように賢く準備をして、安心して過ごしたいひと。
「相続資産計画(エステイト・プラニング)」が有効です。

相続資産計画は、「生前信託」「遺言書」「委任状」の3点セットで行うのが一般的です。

生前信託は、アメリカでは Living Trust(リビング・トラスト)と呼ばれ、面倒なプロベート(裁判所による遺言検認)が不要ですので、お金持ちだけでなく若者にも人気がある「契約」の一種です。

日本では、信託法で認められていて、「遺言代用信託(信託法90条1項1号2号)」となります。相続させたい本人(委託者)と家族や信頼できる知人など(受託者)との間で「信託契約書」を結び、その利益を受ける人を、生前は、本人に、死後は、本人以外の者(受益者)を指定することになります。家庭裁判所の手続きも不要ですので、使い勝手のよい方式だと思います。信託銀行も「遺言代用信託」の言葉を使って、ビジネスとしての信託サービス(商事信託)をやっていますが、ここで扱う「遺言代用信託」は、家族や信頼できる知人間などで行う、民事信託(家族信託)のことです。

遺言書は、費用がかからないけれど、法的な形式をしっかりしていれば、自分で作成できる「自筆証書遺言」
ちょっと費用がかかるけど、確実に遺言が実行できる「公正証書遺言」の2種類が一般的です。
遺言作成のスペシャリスト、国際行政書士がしっかりサポートします。

委任状は、相続の「財産管理」と寝たきりになったときの「尊厳死宣言」が柱になります。

1-2. 遺言と生前信託の違い。生前信託で何ができるの?

遺言は、相続させたい人(遺言する人。被相続人)が、亡くなった後に、相続する人(相続人)に、自分の遺産を受け継がせる約束をすること。

生前信託とは、託す人(相続させたい人。委託人)が、託される人(家族や信頼できる知人などの受託人)に生前に自分の資産を移動させ、その資産から利益を受ける人(生前は、委託人本人、死後、本人が指定する人。受益人)に受け継がせる仕組みになっています。

 

生前信託では、遺言ではできない以下のことが可能になります。
1.相続させたい本人の2代先以降の相続人を指定できる。
2.相続財産の処分に制限をかける事ができる。
例えば、
自宅は長男に相続させたいが、妻の生存中は自宅の売却はしてほしくないとき。
会社の株式を後継者の長男に相続させたいが、自分の死後すぐに株式を譲渡してほしくない、せめて3年間は保有続けてほしいとき。
3.子供や孫に、生活費や教育費を残したいが、彼らの親がルーズなので、信頼できる長女にその財産管理を任せたい。

これ以外に、さまざまな生前信託がありますので、気軽にお訊ねください。

1-3. 相続資産計画(エステイト・プラニング)の流れ

2.【事が起きて、お困まりのご家族のために】突然の出来事に、どうやればいいのか分からない。特に、海外に資産が残っているような相続人の家族。
相続が起きたときの流れを見てみましょう。

2.国際相続の流れ

 

(注)STEP03:  日本の国際私法「法の適用に関する通則法」によれば、

亡くなられた人(被相続人)の本国法(その人の国の「国際私法」)に従って、その人の相続手続きをどちらの国の法律に従うか(「準拠法を決める」、と言います)を決定します。

たとえば、

亡くなった人(被相続人)が、中国国籍であれば、中国国際私法「中華人民共和国渉外民事関係法律適用法」第31条に従い、日本の民法が適用されます。

亡くなった人が、韓国国籍であれば、韓国国際私法「大韓民国国際私法」第49条に従い、大韓民国民法が適用されます。

亡くなった人が台湾〔中華民国)籍であれば、台湾国際私法「中華民国渉外民事法律適用法」第58条に従い、中華民国民法が適用されます。

このように、各国・地域の国際私法によって、(法定)相続される財産の行き先や配分が変わることがありますので、国際法務の専門家に尋ねることが肝心です。

   STEP08:  登録免許税は、「不動産の固定資産税評価額」x0.4%です。